三十路からのデスマーチ

何気ない日常がもしかしたら誰かの役に立つかもしれない。

注目映画「LAMB」のアダちゃんが日本に来日


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映画ミッドサマーみたいな可愛い花冠を付けた可愛いアダちゃん。

羊の女の子でお父さんとお母さんと一緒にお山のおうちで暮らしています。

そんなアダちゃんの映画は2022年9月23日に日本でも公開が決まりました。

来日して抹茶アイスを食べているアダちゃんの可愛い姿がツイッターで絶賛され、小島秀夫監督も「可愛い~」と絶賛。

 

いやほんと可愛いな。アダちゃん。

映画の予告は終始不穏なのに。

当初LAMBはカンヌが衝撃を受けたという煽り文句と共に、ミッドサマーやヘレディタリという日本人の心にアリ・アスターというトラウマを植え付けた制作会社がお届けしますと語っていたんですよ。

それが突然「見て!この映画にはサンリオにでてきそうな可愛い羊の女の子がでてくるんですよ!!」と大きく舵を切ったのです。

舵きりすぎて豪華客船がひっくりかえるレベルの切り方。

ちなみにLAMBはすでに海外で公開済のため、探せばネタバレも含めた日本語の感想を読むこともできます。

ネタバレを知らずに濃縮された不穏を飲むのもよし、心の準備をして挑むもよし、可愛いアダちゃんを心の支えに観るのもよし。それまでは何回公式が舵を切るのか見守りながら待ちわびようじゃありませんか。

忖度しねぇ!ホラーMCU「ドクター・ストレンジ2」

ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス。

公開からずいぶん経ちました。

さすがに何を言っても「あーああ、ネタバレされたから観る気無くなった」と言われないかもしれないと思います。

そもそも、ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネスは、ネタバレされても展開の意外さにネタバレを忘れてしまうくらいの衝撃がありました。

でもなるべく、まだ観ていない人には私と同じ「はあああああ!!!????それやっちゃうの!!!!!????」という気持ちを持ってほしいので、気になっている人は少しでも早く観てほしいと思います。

 

今回はかなりホラーテイストです。だってサム・ライミ監督がMCUが許してくれるギリギリまでホラー演出を加えてるのです。

冒頭から大きな大きな目玉ちゃんが襲ってきます。ヒーローがぎりぎりしてはいけない退治の方法に冒頭からサム・ライミ監督の洗礼を受けます。

え……あれ、MCUはOK出したの? と冷静に考えればかなりぞっとしてしまうところがありますが、マーベルがOKを出したので無事公開されたわけです。

今回の作品はスパイダーマンに引き続きマルチバースがテーマです。

そう、別の世界からやってきたスパイダーマンたちは助け合い、励まし合い、困難を乗り越えたのに、別の世界からやってきたストレンジ先生は一応助け合ったり、かなり足を引っ張り合ったり、むしろ命の取り合いをしたりします。

なんで仲良くできないの!!?そんなに自分がメスを握らないと気が済まないの!!?

そんなストレンジ先生と敵対するのが、一緒に指パッチンおじさんをたこなぐりにしたはずのワンダ。いえ、彼女はもうワンダではなく、マルチバースのどこかにいる自分の子供を求めて戦うスカーレット・ウィッチなのです。

いやいやいや、ピーターがあんなつらい目にあってまでマルチバースを封印したのに、どうしてマルチバースに行き来してるの? 

そう思った方もいるでしょう。

今回は何故だかマルチバースを行き来できるフォーリナーアメリカちゃんがいるのです。

彼女は演出をミスればダサいことこのうえない、大きな星型の世界を行き来するためのトンネルを作り出すことができるのです。

マジで星型なのにちょっとおしゃれでスタイリッシュに見えるのすごい。

「前の世界のストレンジのほうが良かった。」

とストレンジ先生をディスったり、

「ピザにお金払うの?なんで?変なの。」

と貨幣制度を無視してピザをもぐもぐするアメリカちゃん。スカーレット・ウィッチが怖い分、彼女の天真爛漫さはむしろ救いです。

スカーレット・ウィッチはありとあらゆる不幸から自分の子供たちを守るために、マルチバースの無限の可能性を手に入れようと大暴れ。

むかうところ敵なしの彼女は、マルチバースにいるヒーローを虐殺していくのです。

マルチバースのヒーローを。

四人で活動するヒーローチームや、突然変異の子供たちを集めて学校を作った先生、そしてあんなヒーローのもう一人の姿や、あの人気ヒーローの女体化まで。

ランニング中の揺れる雄っぱいで多くのファンを魅了したあのヒーローが金髪美女になって登場した姿には、思わず「ええやん……。」と思ってしまいました。

でもスカーレット・ウィッチは躊躇しません。

歴史のある大先輩ヒーローでも容赦なくゴムの塊に変えていきます。

いや、これ本当にMCU許したの? と不安になるくらいどんどん殺されていきます。

そして逃げ惑うアメリカちゃんとストレンジ先生と別世界のストレンジ先生の元カノをホラー映画のモンスターのように追いかけるスカーレット・ウィッチ。

ついにアメリカちゃんが捕まってしまいますが、ストレンジ先生の最低最悪倫理観皆無の作戦が火を噴くのです。

いやこれ本当にMCUがヨシ!って言ったの? と画面を見ながら茫然とする観客を置き去りにして、サム・ライミ監督のサム・ライ味が特濃で襲ってくるのです。

最後の最後はMCU名物のエンドクレジットの後のおまけを見せて、ストレンジ先生の次回作をこうご期待!で終わります。

劇場を後にした人は誰もが思ったことでしょう。

本当にMCUこれ出してよかったのか? と。

 

そんなMCUの次回作は雷様のソーの新作になります。

ソーのヒロイン、ジェーンが帰ってきます。

予告映像では何故か元彼のコスプレをしています。レオン時代のナタリー・ポートマンを知る者は成長を感じずにはいられません。

さらに豪快に脱いだクリス・ヘムワーズの全裸にファンは阿鼻叫喚。なによりソーのファンは「背中のタトゥー弟じゃねぇか!!!!」と叫ばずにはいられなかったことでしょう。

ホラーの次はコメディなのか。温度差で風邪をひきながらも、ファンはついていくのです。

 

 

人は強いということを教えてくれた「シン・ウルトラマン」

ウルトラマン。今までちゃんと見たことないけどシン・ウルトラマンは観てみたい。そんな風に思わせてくれるだけでもう成功しているのではないかと思います。

公開初日こそ「シン・ゴジラみたいなのを期待して行ったらがっかりした」という声もありましたが「ゾーフィって誰? 」と興味を持った人や「シン・ウルトラマン……私の好きな言葉です……。」と山本メフィラス構文をさっそく使う人もいました。

そして、庵野監督ファンの方たちからは「エヴァは、ウルトラマンだった……?」と綾波レイと、ウルトラマンと融合した神永新二の類似点に震撼したりしました。

私もウルトラマンはふわっとした知識しかなく、昨今の新しいウルトラマンは全く知りませんでしたが、シン・ウルトラマンは一本の映画としてきれいにおさまり、とても楽しく観ることができました。

中でも、公開前は「アイドルに忖度したのかよwww」と言われていた有岡大貴さん演じる滝明久というキャラクターは多くの人に「こんな俳優さんがいたなんて……。」と驚き記憶に残るほど、素朴で魅力的な、キャラクターでした。

 

シン・ウルトラマンの世界では、すでに多くの怪獣が訪れ、日本は自力で撃退していました。

怪獣撃退のための組織、禍特対で青年滝くんは日本のために働いていました。

ある日やってきた銀色の巨人が怪獣をささっと片付けてくれて、さらにやってきた外星人、観客の心をわしづかみにするほど紳士的なふるまいをするメフィラス星人に科学力の力を見せつけられて、「もう人間にできることなんかないじゃないか。」とストゼロを飲んでしまいます。

けれど心の底では、滝くんは「ちくしょう!」という気持ちを抱えていました。

「どうすりゃいいんだよ!」「でも負けたくない!」「どうしたら勝てるんだ!」そんな気持ちを彼の背中はにじませます。

斎藤工演じるウルトラマンは、小さな人間が一生懸命生きている姿を見て、彼らを知りたいと思いました。本を読み、会話をし、彼らを知ろうとしました。

滝くんのことももちろん見ていました。

だからそっと微笑んで、光の星のものすごい科学技術のつまったUSBを託すのです。

珈琲ももってこれなかったのに!!

ストゼロを飲んでいた滝くんは同僚の生物学者、船縁さんからそのことを知らされ、ストゼロ飲んでる場合じゃねぇとパソコンに向かうわけです。

あんなに心折れていた滝くんが!!

シン・ウルトラマンは、ウルトラマンがとにかく強いのですが、最後の最後は希望を捨てなかった人間と一緒に脅威に立ち向かっていきます。

命を投げ出し、人間を守ろうとしたウルトラマン。彼の人を知りたいという気持ちが「そんなに人間が好き」なのだと教えてもらうシーンは「ウルトラマン、ありがとう……。」と涙が思わずあふれてきます。

そして流れる「M八七」のなんと美しいこと。

「光の国からぼくらのために、きたぞわれらのウルトラマン」という日本人なら聞いたことのある歌が、解釈バトルでは負けなしの米津玄師のフィルターを通せば、「君が望むならそれは強く応えてくれるのだ」になるのです。

どんな人生を送ってきたらこんな歌詞とメロディ―が出てくるの??

 

シン・ウルトラマンは不思議なことに、観終わった瞬間はいろいろ思うこともあるのですが、なぜか後に徐々にじわじわと心にしみてきて「もう一回」と思えるような作品になってきます。

私ももっと知りたいと思い、予告の頃は一回も訪れなかった公式ホームページに行き、制作陣の名前を見てみました。

企画・脚本はオタクなら知らぬものはいないと言われるほどの人、庵野監督。そして監督は樋口真……え? あの原作ファンからぼっろくそに叩かれた実写版進撃の巨人の人!?しかもその時の批評に対するコメントで炎上してたの?

あれだけ叩かれた作品に監督として携わっていて、また巨人ものの実写版映画で監督を務めるなんて……すごいなぁ。

 

まぁ進撃の巨人は原作ファンがブチ切れたのがストーリーの部分で、後年原作者の諫早先生がものすごいアプローチをかましてお願いして脚本を書いてもらったことが発覚し、誰が被害者なのかわからなくなりファンも困惑したという歴史がありますので……。

 

 

 

膨らんだ期待が泡のようにはじけた映画「バブル」

シン・ウルトラマンで重要な情報解禁がされました。有識者によれば綾波のそっくりさんが田植えしている姿が公開されたのと同じくらいのタイミングらしいですね。

ウルトラマンをろくに知らない人間が観ても「ありがとう……ウルトラマン……。」と思い涙せずにはいられなかったりするほどの名作として、賛否両論あれど賛辞の方が多いことで話題ですね。

ネタバレされたから見る気がなくなった、なんていわずにぜひ見てほしいです。ネタバレを忘れるほど引き込まれますから。

そんなシン・ウルトラマンともっとも同じ時期に公開してはいけなかったと個人的に思う作品があります。

進撃の巨人で有名な監督と、数々の心揺さぶる音楽を生み出した音楽家と、美しく迫力ある作画で有名な漫画家と、おタク大好きな鬱展開量産機で話題の脚本家を混ぜて、渋谷をジャックしたり漫画展開したり、ネトフリさんで先に公開されたりすることで話題になった作品「バブル」。

マーケティングが失敗した代表的な例と言われた「バブル」。

絶対売れるものなんてないことを証明した「バブル」。

何故「バブル」がシン・ウルトラマンとかぶってはいけなかったのか。

シン・ウルトラマンが「なぜかわからないけど人間を好きになって、命を投げ出してまで人間を守ろうとしてくれた宇宙人」を描いたのだとしたら、「なぜかわからないけど人間に突然怒りだして東京を沈めた宇宙人」を描いたのがバブルなのです。

シン・ウルトラマンはさりげなく、ウルトラマンが人間を好きになっていく過程が描かれているのですが、それに対してバブルは「たぶん怒りに触れた」というセリフだけで東京が壊滅するのです。

ネタバレになるので本筋までは語りませんが、個人的には「これはテレビで最も見てはいけないタイプの映画だ……。」と思いました。

迫力あるパルクールの映像、美しい画とマッチした音楽、ご家庭のテレビでは再現できないのです。

本作のテーマというかストーリーがSF版「人魚姫」なのですが、それは決して悪くはないのですが、テーマと設定が壮大すぎるのに主人公たちのしていることがこじんまりしすぎているのです。実際パルクールで東京タワーに昇っただけなので。

結果、主人公は特になにもしていないのに勝手にストーリーが進んで終わってしまったのです。

本当に、特に何もしていないのに、始まって終わったのです。

予告は良かった。主題歌もよかった。なのにどうしてこうなった。

 

ネットでは今も賛否両論ありますが、私はバブルで賛辞だけを得る検索方法を見出しました。

バブル アンダーテイカー で検索をすると、バブルに出てくるパルクールチームの一つ、アンダーテイカーのリーダーというキャラクターがとても良いというコメントが続々出てきます。

 

バブル、よかったけど批判ばっかりでつらい、と感じた方はぜひとも試してみてください。

 

 

白髪で隠れない美貌のヒロイン映画「狗神」

天海祐希セミヌードが観れるということで、当時男子高校生が劇場に駆け付けたという噂のある角川ホラー映画「狗神」。内容は、四国の山間にある集落で暮らす中年女性が新任の若い男性教師と出会ったことにより、その集落で恐ろしいことが起き始めるという官能小説のようなストーリーです。

このヒロインこと、天海祐希が演じる美紀はとても美しいけれど白髪がぽつぽつある女性で、地元の青年に「自分にとってはお祖母ちゃんみたいなもんです。」といわれます。後々わかりますが彼女は集落で疎まれた存在です。何故かというと狗神憑きだから。

この狗神憑きというのは、自分たちに危害を加えた者、自分たちに無礼を働いたものを狗神を遣って殺すことができる、というものです。

そんな恐ろしい一族だと差別するのは大体中年から上の年齢で、若い人たちは「狗神なんかいるわけねぇだろうがよ!!」という意見を持っています。

この作品を天海祐希セミヌード目当てで観に行った男子は「思ったより見えなかった……でもおっぱいはちょっと見れた。」という気持ちで劇場を後にしたことでしょう。

若い男性教師、晃と出会ったことから、美希と集落に異変が起きます。集落の人皆が悪夢を観たり、美希は美しく若返っていきます。

若返ると言っても、白髪交じりの髪をしていた天海祐希が元の天海祐希に戻って眼鏡も外しただけなので、オフの天海祐希か仕事モードの天海祐希くらいの違いしかありません。

だって天海祐希なんですから。

ワンピースで鎌を持ってのしのし歩いている街田しおんも、ヒステリックな演技と山路和弘に甘えるときの演技が色っぽくて良いです。おっぱいを一応見せてくれます。死んでますけど。

この作中では、女性の扱いがひどいです。

こんな集落で生きるなんてまっぴらごめんだと逃げ出したのに連れ戻された美希の母に始まり、子宮筋腫だからと夫が勝手に医師と相談して子宮摘出を決めてしまった百代、夫が飲んだくれで不倫をされている園子。しかも夫はずっと妊娠させた妹に執着していたことがわかります。本当に報われない。

美希は「女が黙って死ぬとでも思ってんのか」と兄の頭を狗神様が入っている壺でかち割りますが、それもっと早くやっておかなきゃいけないやつです。

解ります。

四国の端っこから逃げ出そうと思っても、どこに逃げ出せばいいのかわかりません。なんせ美希の家にはテレビもなく、携帯電話なんてもっとないのです。彼女は飛び立とうとしたときに妊娠し、一緒に逃げようとした男(実兄)は美希を置いて先に逃げていたのです。精も根も尽き果て、「ここならとりあえず家はあるし…。仕事場から見る景色も好きだし……。」と思ってあきらめてしまうのです。耳クソのようなよかった探しを始めるのです。

よぉく解ります。

そして物語はとんでもない方向へと向かっていきます。

個人的にはモノクロのシーンから、炎が立ち上がって色が変わるのは「どやっ。」という監督の顔が浮かびました。

 

最後にこの映画を観終わった時、狗神は果たして本当にいたのか。という微妙さを感じました。

心筋梗塞が重なっただけで、あの黒いもやっとしたのは美希が見ている幻覚にすぎなかったのではないか。

美希が本当に怒りのままに狗神を遣えていたのなら、真っ先に殺したい相手は目の前にいて、ハンドバッグで殴っている場合ではないのでは。

最後に出てきた美希の悪夢を想起させるような演出が、ホラー映画だから一応後味悪くしておこうみたいに見えて……。

原作ではちゃんと(?)ホラー展開になっていたそうなのですが、この映画はド田舎の薄幸美人のドラマに収まってます。

だって天海祐希ですから。

紙すきのシーンも美人なのです。

お母さんだとしても知らずに接してきていたのだからきゅんとする、という気持ちもわかります。

 

物語の結末に向けてのシーンを見て、「あの病院での身内受けトークが伏線だったの!?」と驚いたりします。

若かった美希の姪と美希を慕っていた青年は結ばれているような、これからも大変そうな不穏なラストではありますが、同時にその不穏さは「美希と晃はあの山のどこかで別の形で生きているのでは」とも思わせてくれます。

 

角川ホラーらしい、じっとりねっとりした作品でございました。

 

 

 

※ちょっとネタバレ

映画では美希は母親の霊を降ろせるイタコのような役割をしていたという設定があり、そこは逆に何故美希がこの集落にしばられているのかという説得力がありました。

美希が幻覚や精神分裂によって母親を見たり、演じたりしているのか、本当に母親の霊が見えて降ろしているのかはさておき、そんなやばい身内を外に出すわけにはいかないというのは納得できます。

外に逃げて何か事件が起きたら、集落に残った一族が一層差別や偏見をうけるのです。

狗神が存在しているのか、存在していないのかぼかすことで、「狗神がいることにして誰かで鬱憤を晴らしたい」という集団心理の嫌な感じがリアルでした。

美希一人を殺さず、一族で死ぬことにしたのを決めたのが男だけというのも本当に嫌な感じでしたがリアルでした。

だから逆に、男の誠二が、美希を庇ったり、反対を押し切って助けようとしたりしてくれたので、この物語に希望のようなものが見えて、あまりわるくない後味に仕上がったのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スパイダーマンは一人じゃない

ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネスが公開されてうっきうきで観てきました。

でも本国でも観ていない方もいるので、まだ語りません。

その代わりマルチバース前作のスパイダーマンがとてもよかったという話をします。

 

このブログのタイトルにもあるように、私は三十路を超えています。

私、まだMCUが存在する前に公開された、いわゆるサム・ライミ監督版のスパイダーマンを劇場で観ました。

まぁ驚きました。

スパイダーマンというキャラクターを知っていましたが、アメコミの実写版がこんなにスタイリッシュなんて。

日本ではとてもできません。

今もできません。

三部作を劇場で追いかけて、心優しい青年ピーターの苦難の道に想いを馳せました。

そして数年後。今度はアメイジングスパイダーマンが公開されました。

私は様々な事情から、アメイジングスパイダーマンの二部作は劇場で観ることができず、DVDで観ました。

僕の戦いはこれからだ!!という終わりを迎えたアメイジングスパイダーマン、略してアメスパ。

続編が観れる日はくるのかと思っていました。

それから数年後。

MCUの映画、キャプテンアメリカとアイアンマンが本気の殴り合いをしてアベンジャーズが真っ二つに割れてしまう映画、シビル・ウォーが公開されました。

そこになんと予告でも存在を明かされなかった、今までの別会社のスパイダーマンよりも幼い、正直に言ってとても可愛い、トム・ホランド演じるスパイダーマンが登場しました。

お、おかえり、スパイダーマン

スクリーンでまた彼を見ることができた喜び。

今までのスパイダーマンは孤独に戦ってきましたが、今度の彼は頼れる先輩と頼れる財布がついています。

そして満を持して単独映画が公開。

しかし、その次の出番が、みんなのトラウマ、インフィニティウォー。

あんなに可愛くて頑張って戦っていたピーターがなすすべもなく、トニーの腕の中で黒い塵となって消えていくのです。苦痛を訴えながら。

トラウマです。

お通夜です。

早く帰ってきてキャプテンマーベル!!

それから五年後、戻ってきたピーターは相変わらず小さな体で頑張りました。大事な恩師、アイアンマンの死を乗り越えて。

そんな彼が開幕メディアからバッシングされる最新作ノー・ウェイ・ホーム略してNWH。

胃をきりきりし、愚かな民衆に滅びろと思っている場合でもありません。

何故なら腕利きの弁護士が出てくるのです。

待って!誰も教えてくれなかった!盲目のスーパーヒーローデアデビルの借りの姿、敏腕弁護士マット・マードックが出てくるなんて!

出番がこれだけにしておくにはもったいない古株ですが、これはピーターの物語なので今回は凄腕弁護士としての仕事をして退場です。

そしてピーターが望まずマルチバースから呼び寄せたのは、サム・ライミスパイダーマンの人気ヴィラン、ドクター・オクトパス。

予告で観た時からもう会いたかった。

どんどん出てくる懐かしい敵役。

お爺ちゃんになってしまったグリーンゴブリンも痛々しい。

ピーターは、彼らが別世界では全員亡くなっていると知り、それじゃあこのまま戻したら死んでしまうと、ドクター・ストレンジに逆らって彼らの問題を取り除くことになります。

皆で仲良く仮住まいに移動し、メイ叔母さんに塩水を飲まされようとされて「はぁん!?」と怒っているドクター・オクトパスからまず正気に戻します。

無事元の優しいオクタヴィア博士に戻り、ちょっと涙ぐんでいると、大事件が起こります。

グリーン・ゴブリンがやらかします。

そして、あの時が訪れるのです。

みんなのトラウマ「大いなる力には大いなる責任が伴う」のシーンです。

そのセリフを言うのは、ピーターが失いたくなかった人の最期の時なのです。

あんなに小さな身体で頑張っていたピーター。

大切な人を失くしてしまった彼を見つけてくれたのは、彼のガールフレンドのMJと親友ネッド。そして、今まで別の世界で戦っていたスパイダーマンの二人。

別の世界のスパイダーマンもやってきていたのです。

私、ツイッターの反応で出てくるのは予想していたんです。

でもですね、それこそ腕利き弁護士と同じくらいの登場だと思ってたんです。

だから、ネッドがうっかりストレンジ先生から取り上げていた道具でピーターを呼ぼうとすると、どこかの路地裏にいたピーターを見つけた時にはすっかり忘れていて、普通にたまげたんです。

MJとネッドが手を振っていた時、私も心の中で手を振っていたんです。

すると駆け足でやってきたピーター……あれ? なんかでかくね? 

まさかと思ってマスクをすぽんっと外せば、そこにはアメスパのスパイダーマンアンドリュー・ガーフィールドのピーターが出てきたのです。

疑うMJとネッドと、蜘蛛の巣を払ってとお願いするネッドのお祖母ちゃんを観ながら、まだ茫然とする私。

そしてもう一回呼ぶと、今度は謎の一般人……え? この一般人、トビー・マグワイアじゃね……?と驚いていると、ただの一般人のトビー・マグワイアではなく、サム・ライミ版のスパイダーマン

もう、ここで両手を合わせました。

この三人がいつか一緒に出てきたら、それはもう、ファンアートでしか実現できない世界だと思っていたのに、みんなの大好きな善き隣人が三人もいるんです。

え、この同人誌どこで買えるんです?とコミケカタログの映画ジャンルを見ながら尋ねたくなるレベルの、三人が力を合わせて励ましあい、冗談を言い合いながら過ごす時間。

この時間が永遠に続いたらいいのに……。

でも映画には終わりがきます。

前作の二人が抱えていた心残りを、この世界で解放しながら。

最後にピーターが選んだ道はとても悲しく、とても切ない。

でも、彼の心には別の世界で戦うピーター・パーカーの存在が残っているのなら、彼の大きな支えとなってくれるのではないでしょうか。

スパイダーマンは一人じゃない。

マルチバースには黒人のスパイダーマンや女の子のスパイダーマンや豚ちゃんのスパイダーマンや、デッド・プールに絡まれてうんざりしているスパイダーマンがいるんですから。

 

 

マルチバースと言えば。

ドクター・ストレンジ2ことドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネスもサム・ライミ監督がメガホンをとっているそうで、宣言通りかなりホラー寄りになっています。

どのくらいかというと、ツイッター死霊のはらわたの続編と言われるくらいです。

ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス

これまでのMCUの中でいっちばんホラーらしいので、スパイダーマンを観た気持ちで行くのは要注意です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワンピースまだ間に合う?

ワンピース、貴方はどこで挫折しました?

私はゴーイングメリー号がもう一緒に旅をできないと判明するウォーターセブンで挫折しました。

ゴーイングメリー号は諦めなきゃならないし、ウソップは船を降りるっていうし……なんでだよ!!空から帰ってきたんだぜ!?あんな大冒険したのにここで仲間割れするのかよ!!

と悲しくなって挫折しました。

なんとなく、船大工が加入したらしいことや、ウソップが戻ってきたことや、船長が初期から言っていた音楽家が入ったことや、とんでもない別れがあったことや、二年経っていることは知っていましたが、100巻が発売されたことをきっかけに私もまた麦わら一味の冒険を追いかけています。

ワンピースを好きだったのが十代。あれから干支が一周以上しましたが、戻ってきてもまだおもしろいワンピース。

というか、回を追うごとに過去編がつらくなっています。

私はナミさんの養母のベルメールさんとの別れが当時とてもつらく、二年後のナミさんが女海兵さんに弱いと言ったときに号泣してしまうほど思い入れのあるキャラでした。

ベルメールさん。ナミさんは貴方にそっくりな子供好きのセクシーで素敵な女性になりましたよ……。

最初は謎の美女だったニコ・ロビンがすっかり打ち解け、ずっと人の目を気にして息をしてきた彼女がスリラーバークでウキウキと上陸チームに混ざったりしているのを見て泣いたり、落書きの龍が消えるときに花を手向けたり、ついには変顔をさらしたり、ガラの悪いチンピラ兵の真似が板についていたりとおもしれ―女になっているのにまた涙しました。

そしてまさかのラブーンが待ち続けていた仲間のブルックが生きて(死んでるけど)いたり、最初の冒険を知っている読者にも嬉しい伏線の回収があってあっという間に100巻呼んでいました。

まだ間に合いますよ。ワンピース。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘です。

間に合うのは本当です。

あっという間じゃありませんでした。

ウォーターセブンのロビンちゃんの過去編もフランキーとアイスバーグさんの過去編もつらくて数日しんどくなっていました。

マリンフォード頂上戦争で落ち込んでました。

そして100巻読み終わった後もツライオブしんどかったのがドレスローザ編……。

私、チョッパーが好きなので展開がつらくてもチョッパーの癒し要素で乗り切ったことが多かったのです。でもドレスローザ編にはチョッパーは別行動なのです。

バルトロメオ君がいなかったら、本当乗り切れませんでした。

尾田先生、早く彼にちゃんとした航海士と操舵者をつけてあげてください……。

なんかもう、過去編も地獄、現在進行形も絶望。ルフィ船長じゃなくても読んでるこっちが息苦しさで窒息しそうで……本誌追いかけてた人たちよく心臓がもったなと。

しかも主人公とは別のところでDの一族を背負うキャラクターが出てきて「それ主人公じゃなくて貴方が言っちゃうの!? 」と、シリアスな面を背負うキャラクターが出てきたり。

しょうがない。船長は世界で一番ふざけた能力を持った存在だから。しょうがない。

そしてやっと終局になり、新たな展開を見せるワンピース。

くしくも舞台は日本をモチーフにしたワノ国編。

いや、先生、ワノ国今までのやばい国の中でダントツ地獄じゃないですか……。

初めて読んだとき「先生、日本モチーフでこのすさまじい独裁国家って……今の日本のメタファーなんですか?」と思いました。

そんなわけでまだ見ていない方。間に合います。

たぶんまだ100巻くらい続きますから。