三十路からのデスマーチ

何気ない日常がもしかしたら誰かの役に立つかもしれない。

スパイダーマンは一人じゃない

ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネスが公開されてうっきうきで観てきました。

でも本国でも観ていない方もいるので、まだ語りません。

その代わりマルチバース前作のスパイダーマンがとてもよかったという話をします。

 

このブログのタイトルにもあるように、私は三十路を超えています。

私、まだMCUが存在する前に公開された、いわゆるサム・ライミ監督版のスパイダーマンを劇場で観ました。

まぁ驚きました。

スパイダーマンというキャラクターを知っていましたが、アメコミの実写版がこんなにスタイリッシュなんて。

日本ではとてもできません。

今もできません。

三部作を劇場で追いかけて、心優しい青年ピーターの苦難の道に想いを馳せました。

そして数年後。今度はアメイジングスパイダーマンが公開されました。

私は様々な事情から、アメイジングスパイダーマンの二部作は劇場で観ることができず、DVDで観ました。

僕の戦いはこれからだ!!という終わりを迎えたアメイジングスパイダーマン、略してアメスパ。

続編が観れる日はくるのかと思っていました。

それから数年後。

MCUの映画、キャプテンアメリカとアイアンマンが本気の殴り合いをしてアベンジャーズが真っ二つに割れてしまう映画、シビル・ウォーが公開されました。

そこになんと予告でも存在を明かされなかった、今までの別会社のスパイダーマンよりも幼い、正直に言ってとても可愛い、トム・ホランド演じるスパイダーマンが登場しました。

お、おかえり、スパイダーマン

スクリーンでまた彼を見ることができた喜び。

今までのスパイダーマンは孤独に戦ってきましたが、今度の彼は頼れる先輩と頼れる財布がついています。

そして満を持して単独映画が公開。

しかし、その次の出番が、みんなのトラウマ、インフィニティウォー。

あんなに可愛くて頑張って戦っていたピーターがなすすべもなく、トニーの腕の中で黒い塵となって消えていくのです。苦痛を訴えながら。

トラウマです。

お通夜です。

早く帰ってきてキャプテンマーベル!!

それから五年後、戻ってきたピーターは相変わらず小さな体で頑張りました。大事な恩師、アイアンマンの死を乗り越えて。

そんな彼が開幕メディアからバッシングされる最新作ノー・ウェイ・ホーム略してNWH。

胃をきりきりし、愚かな民衆に滅びろと思っている場合でもありません。

何故なら腕利きの弁護士が出てくるのです。

待って!誰も教えてくれなかった!盲目のスーパーヒーローデアデビルの借りの姿、敏腕弁護士マット・マードックが出てくるなんて!

出番がこれだけにしておくにはもったいない古株ですが、これはピーターの物語なので今回は凄腕弁護士としての仕事をして退場です。

そしてピーターが望まずマルチバースから呼び寄せたのは、サム・ライミスパイダーマンの人気ヴィラン、ドクター・オクトパス。

予告で観た時からもう会いたかった。

どんどん出てくる懐かしい敵役。

お爺ちゃんになってしまったグリーンゴブリンも痛々しい。

ピーターは、彼らが別世界では全員亡くなっていると知り、それじゃあこのまま戻したら死んでしまうと、ドクター・ストレンジに逆らって彼らの問題を取り除くことになります。

皆で仲良く仮住まいに移動し、メイ叔母さんに塩水を飲まされようとされて「はぁん!?」と怒っているドクター・オクトパスからまず正気に戻します。

無事元の優しいオクタヴィア博士に戻り、ちょっと涙ぐんでいると、大事件が起こります。

グリーン・ゴブリンがやらかします。

そして、あの時が訪れるのです。

みんなのトラウマ「大いなる力には大いなる責任が伴う」のシーンです。

そのセリフを言うのは、ピーターが失いたくなかった人の最期の時なのです。

あんなに小さな身体で頑張っていたピーター。

大切な人を失くしてしまった彼を見つけてくれたのは、彼のガールフレンドのMJと親友ネッド。そして、今まで別の世界で戦っていたスパイダーマンの二人。

別の世界のスパイダーマンもやってきていたのです。

私、ツイッターの反応で出てくるのは予想していたんです。

でもですね、それこそ腕利き弁護士と同じくらいの登場だと思ってたんです。

だから、ネッドがうっかりストレンジ先生から取り上げていた道具でピーターを呼ぼうとすると、どこかの路地裏にいたピーターを見つけた時にはすっかり忘れていて、普通にたまげたんです。

MJとネッドが手を振っていた時、私も心の中で手を振っていたんです。

すると駆け足でやってきたピーター……あれ? なんかでかくね? 

まさかと思ってマスクをすぽんっと外せば、そこにはアメスパのスパイダーマンアンドリュー・ガーフィールドのピーターが出てきたのです。

疑うMJとネッドと、蜘蛛の巣を払ってとお願いするネッドのお祖母ちゃんを観ながら、まだ茫然とする私。

そしてもう一回呼ぶと、今度は謎の一般人……え? この一般人、トビー・マグワイアじゃね……?と驚いていると、ただの一般人のトビー・マグワイアではなく、サム・ライミ版のスパイダーマン

もう、ここで両手を合わせました。

この三人がいつか一緒に出てきたら、それはもう、ファンアートでしか実現できない世界だと思っていたのに、みんなの大好きな善き隣人が三人もいるんです。

え、この同人誌どこで買えるんです?とコミケカタログの映画ジャンルを見ながら尋ねたくなるレベルの、三人が力を合わせて励ましあい、冗談を言い合いながら過ごす時間。

この時間が永遠に続いたらいいのに……。

でも映画には終わりがきます。

前作の二人が抱えていた心残りを、この世界で解放しながら。

最後にピーターが選んだ道はとても悲しく、とても切ない。

でも、彼の心には別の世界で戦うピーター・パーカーの存在が残っているのなら、彼の大きな支えとなってくれるのではないでしょうか。

スパイダーマンは一人じゃない。

マルチバースには黒人のスパイダーマンや女の子のスパイダーマンや豚ちゃんのスパイダーマンや、デッド・プールに絡まれてうんざりしているスパイダーマンがいるんですから。

 

 

マルチバースと言えば。

ドクター・ストレンジ2ことドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネスもサム・ライミ監督がメガホンをとっているそうで、宣言通りかなりホラー寄りになっています。

どのくらいかというと、ツイッター死霊のはらわたの続編と言われるくらいです。

ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス

これまでのMCUの中でいっちばんホラーらしいので、スパイダーマンを観た気持ちで行くのは要注意です。