三十路からのデスマーチ

何気ない日常がもしかしたら誰かの役に立つかもしれない。

映画ゲストと思ったらガチヒロイン「ワンピース/FILM Red」

ワンピース/FILM Redの予告を初めて見た時、歌手なのだろうということとは察しましたが、拳を握った横顔が勇ましくて女の子とは思いませんでした。

しかし出てきたのは「シャンクスの娘」「ルフィの幼馴染」「世界の歌姫」という「夢小説」という単語を知っている人が見た瞬間に「あいたたたたたた!!」と昔の古傷を抑えてしまうような設定。

かくいう私は「えらいこっちゃ……戦が始まる……。」と公開前から不安にかられました。

世界的人気漫画に突然はえてきた幼馴染の美少女。

しかも歌声担当が「うっせぇわ」でキッズから大人まで思わず口ずさんでしまう名曲を出した新時代の歌姫Adoさん。

Adoさんが、こんな可愛い「こんにちは~ウタだよ~☆」みたいな女の子の歌声担当するなんて、観る前から嫌な予感がする事前情報。

そして公開が近づくにつれてどんどん出てくる楽曲担当者。

若者に人気のアーティストからオタクが大好きな作曲家まで……え、FAKE TYPE.?? 何故???? え”!!!???

そんな何が何やらわからない次元に突入していきました。

公開前からは「こんな設定映画限定のゲストキャラでだして大丈夫か尾田っち。」「人気歌手を入れれば売れるなんて見通しが甘いんじゃないか」とファンがハラハラする中公開された映画。

劇場に足を運び、劇場を後にしたものは「甘かったのは自分たちの方だった……。」と沈痛な面持ちで語るのです。

そしてあるものは語ります。

映画の真のヒロインはシャーロット・ブリュレだったと。

まだ映画を観ていない人になるべくネタバレなしで伝えるなら、本作「ウタ」は映画のゲストキャラではなく、映画の主人公と言っても過言ではない存在だったということ。

映画を観れば誰もが「これはうっせぇわのAdoさんじゃないといけなかった。」と思えるような存在だということ。

そして、彼女は間違いなく尾田先生が生み出したワンピースのキャラクターだということ。

「誰がここまでやれと言った……。」

とウタの魅力に心に傷を負う人まで続出。

どうすればよかったのか。

アニメオリジナルストーリーのゲストキャラでよくある、ラスボスに操られてとか、騙されてとか、そういった逃げ道を信じていたんです。

冒頭の「私の歌で皆を幸せにする!」を、夢と希望を信じるキラキラしたヒロイン特有のまぶしさから発する言葉だと思っていたかったんです。

違うんですよ。

ウタは追い詰められていたとはいえすべて自分で決断し、彼女の善性の信念をもって行動したんです。

彼女の不幸は、彼女の罪悪感を認めてそばにいてくれる人がいなかったこと。

自分の責任ではなくても、彼女の価値観ではそれは罪であり償わなければいけないことであり、逃げ出したいほど怖いものだったのです。

しかしウタの二人の父親は二人とも、そんな出来事を彼女に忘れてほしかった。幼いウタには罪のないことで、前を向いて歌い続けてほしかった。そんな優しさのすれ違いが結果的にウタという少女を苦しめて、選択をさせてしまった。

 

映画限定のヒロインに追わせていい業じゃない!!

 

人類の7割が射程範囲って……進撃の巨人のエレンが最終的に滅ぼした人類が8割!あの指パッチンおじさんことサノスでさえ5割だったのに……。

 

今回の作品は「ワンピース映画ではない」けれど「間違いなくワンピースの作品」という異常な映画でもあります。

ワンピース初心者も、ワンピース玄人も、あまりにもな情報量に発狂間違いない本作。ぜひともワンピースを愛するすべての人にみていただきたい作品です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレなしで言うなら、すでに公開されているMVのウタカタララバイを観てから行くと「ちくしょう!映画なのに容赦なくやりやがった!!」という気持ちになります。