今週のお題「怖い話」
私がまだうら若い乙女だったころの話です。
私の住んでいたマンションには一階に呼び鈴があり、部屋番号を押すと部屋のインターホンにつながるという内線システムが搭載されていました。
宅配の人が最上階に来ても、留守だったということがないシステムです。
当時はネット通販もまだあまり浸透していなく、不在通知が入ってくることの多かった私がいるときにインターホンが鳴ることはまずありませんでした。
しかし、ある夜、インターホンが鳴ったんです。
「〇〇宅配ですけど、お届けに上がりました。」
私は、懸賞かなにかかなと思って、元気よく返事をしました。
しかし、待てども待てども、宅配が届くことはありませんでした。
念のために郵便ポストを覗いたのですが、何も届いてはいません。
不思議に思いながら、大家さんに家賃を渡すときに、こういうことがあったんですよー。と話すと、大家さんは怪訝な顔をしました。
「外のインターホン、壊れて使えないはずなんですよ。」
と言われて、二人で見に行くと、ボタンを押してもうんともすんとも言わないのです。
大家さんが言うには、住民の一人が、付きまといをされていて、夜遅くに鳴らされるので困ると言われて、壊れたのを機にそのまま使えずにしていたそうです。
思いがけず、別の意味で怖い話を聞いてしまいましたが、では、あの時私の部屋につながった声は、どこから来たのでしょう。
そして、その宅配の人は、どこにいってしまったのでしょう。
おそらく、きっと、途中で間違えてしまったと気づいて、回れ右をしてしまったのか、もしくは部屋番号を押し間違えてしまったものと思います。
そうであってほしいです。
そして、付きまといをされていた人がその後どうなったのか。今は平穏無事に過ごしていることを祈ります。