三十路からのデスマーチ

何気ない日常がもしかしたら誰かの役に立つかもしれない。

幽霊も怖いけど人間も怖い

今週のお題「怖い話」

 

私がまだうら若い乙女だったころの話です。

 

私の住んでいたマンションには一階に呼び鈴があり、部屋番号を押すと部屋のインターホンにつながるという内線システムが搭載されていました。

 

宅配の人が最上階に来ても、留守だったということがないシステムです。

 

当時はネット通販もまだあまり浸透していなく、不在通知が入ってくることの多かった私がいるときにインターホンが鳴ることはまずありませんでした。

 

しかし、ある夜、インターホンが鳴ったんです。

 

「〇〇宅配ですけど、お届けに上がりました。」

 

私は、懸賞かなにかかなと思って、元気よく返事をしました。

 

しかし、待てども待てども、宅配が届くことはありませんでした。

 

念のために郵便ポストを覗いたのですが、何も届いてはいません。

不思議に思いながら、大家さんに家賃を渡すときに、こういうことがあったんですよー。と話すと、大家さんは怪訝な顔をしました。

 

「外のインターホン、壊れて使えないはずなんですよ。」

と言われて、二人で見に行くと、ボタンを押してもうんともすんとも言わないのです。

 

大家さんが言うには、住民の一人が、付きまといをされていて、夜遅くに鳴らされるので困ると言われて、壊れたのを機にそのまま使えずにしていたそうです。

 

思いがけず、別の意味で怖い話を聞いてしまいましたが、では、あの時私の部屋につながった声は、どこから来たのでしょう。

そして、その宅配の人は、どこにいってしまったのでしょう。

 

おそらく、きっと、途中で間違えてしまったと気づいて、回れ右をしてしまったのか、もしくは部屋番号を押し間違えてしまったものと思います。

 

そうであってほしいです。

 

そして、付きまといをされていた人がその後どうなったのか。今は平穏無事に過ごしていることを祈ります。