三十路からのデスマーチ

何気ない日常がもしかしたら誰かの役に立つかもしれない。

献血は簡単だけど誰にでもできない

誰にでもできる簡単なお仕事

という文句に騙された人は多いと思います。

そんな誰にでもできるフレーズがついている献血

こんなこと言うと赤十字から怒られると思うんですが、どうしても伝えたい。

 

献血は誰にでもできません……。

 

これは、献血を60回以上行ってきた私の結論です。

 

だからこそ、いろんな人に献血に行ってほしいという正直な気持ちです。

 

ジュース飲みに行こうぜ!とみんなで行ってみたら、一人だけアレルギーの薬飲んでいてできなかったとか、昼食の揚げ物の油が浮いてできなかったとか、比重が足りなかったとか、いろんな理由で献血ベッドに行くまでにふるいにかけられるのです。

 

そんな私が今まで献血できなかった思い出を語ろうと思います。

 

まず献血は、問診を行います。体重身長を書きこみ、熱を測ります。

ここで微熱が出ていたらだめです。

痛み止めや風邪薬など、薬を三日以内に服用していたらだめです。

化膿している傷があったらだめです。

体調が悪い人はもちろんだめです。

平熱だった人は次に進みます。血圧測定です。

ここで血圧が低かったり高かったらだめです。冬場は特に血圧が下がりやすいので、ここではねられることもあります。

そこをクリアして、血液検査です。やっと血を抜きます。ここでは少し血を抜いて、血液の比重を調べます。

この血液検査は、成分献血か全血かで変わってきます。

全血ができない人も、成分献血ならできる人もいます。

しかし、直前の食事が脂っこいものだった場合、血液に油が混じっていて献血できません。

 

この油が混じっている状態、比喩ではなくガチで油が混じっています。

バター多めのトーストとか、焼肉とか、揚げ物とか。そういった食事をしてから行くと、血液に油が混じるのです。

これは見せてもらったことがあるのですが、本当に血液の上に油がたっぷりなみなみあるのを試験管のような細いガラス管のような入れ物で見せてもらったのです。

見た瞬間、こんなものが私の身体に入っているのかとぞっとしました。

 

ちなみに女性の場合は生理直後だと血が薄くてはねられることがあります。

生理中はいわずもがな。むしろお勧めできません。血を失いすぎて倒れます。

 

さて、ここまでをクリアした人は選ばれし者として採血ルームの扉をくぐることができます。

貴方の身体にある血を待っている人が居るのです。堂々と行ってください。

そこではDVDやテレビを観ることができます。本も読めますが、片腕が使えないので読みづらいです。

採血用のベッドで横になり、看護士さんたちが飲み物を運んでくれるのそこはホスピタルカフェ。看護士さんたちは常に貴方を気遣ってくれます。血を代償にしばし王様気分が味わえます。

ここまできたらもう八割は勝ったものなのですが、まだ油断はできません。

献血用の針は、太いのです。

血管が細い人や、血管が固い人は、ここで最も最悪の状況、針が血管に刺さらないという状況に遭遇することがあります。

ここはもう看護士さんに頑張ってもらうしかありません。

難なく刺さった人はおめでとう、しばし安息をとられよ。

しかし刺さらなかった人は、残念ながらここで退場です。

 

献血は、誰にでもできることではありません。

輸血や移植をした人、何らかの事情で薬を常用している人、その日の体調が悪かった人、血液の比重が足りない人、等など様々な事情で献血ができない人がいます。

 

ジュースが飲みたいなんてそんな不純な動機で献血なんて……と考えている人、いいじゃないですか。ジュース、飲んでください。お菓子、食べてください。貴方が健康でやってきて健康に帰ってくれれば、その血は誰かを助けることができるのです。

 

自分は献血ができないダメな人間だ……という人もいますが、ダメじゃないのですよ。献血は誰にでもできないのです。貴方のその気持ちを他のことに生かしていただけないでしょうか。