三十路からのデスマーチ

何気ない日常がもしかしたら誰かの役に立つかもしれない。

スプラッターライトノベル「ダイナー」

今週のお題「プレゼントしたい本」

 

平山夢明

言わずと知れた、読後感がひやぁっとする作品を作り上げるホラー作家さんです。

「今殺りに行きます」という作家、市川拓司に訴えられても文句言えないようなインパクトのあるタイトルを小説に付けたり、幽霊が出ないのに恐ろしくて読み進められない、本当に怖いのは生きている人間です、というような作品を作る作家さん。

そんな彼の作った作品、「ダイナー」

ひょんなことから人生を踏み外し、怖い人たちに穴に埋められかけた主人公カナコ。そんな彼女が命と引き換えに働くことになった食堂は殺人鬼たちの温床だった。

常に命がけデスゲーム状態の超ブラックバイトで彼女は無事ウェイトレスとして生き残れるのか。

 

本作はいやぁな描写も無論ありますが、ダイナーの店主ボンベロの作るハンバーガーは魅力的で、深夜に読むと怖いけどハンバーガー屋に走りたくなる破壊力を持っています。

カイジ並に人生の賭けに負けてどん底に突き落とされたカナコが、運と少しのしたたかさを武器に難を逃れ、最終的には圧倒的に、根本的に分かり合えなかったはずの相手と互いの命を預け合うほどの関係になっていくのに引き込まれます。

読み終わった後に残る清々しさと、B級映画を見たような気分は、もう一回見てみようかなと思わせます。

ライトのノベル感覚で読める作品なので、B級映画好きで少々のグロ描写に耐えられる方ならぜひ読んでほしいです。