公開がもうすぐ終わりますね。
今更過ぎて鼻で笑われるかもしれないのですが、もしかしたら私のように「周りは良いって言うけど、その分だけ段々ハードルが上がってしまって観て逆にがっかりするんじゃなくて? 」なんて天邪鬼さんに伝えたいためにお勧めしたい。
ズートピアはいいぞ。
ディズニーなんです。
世界中で愛されるアニメーションをばんばん出してる会社です。
そんなディズニーが今回作った作品ズートピア。
主人公可愛いうさちゃんのジュディがポスターにばばんと出てますね。
田舎育ちの彼女が頑張る話なんだなってなんとなく察しますよね。
ところがどっこい。
前半はまったくもってそうなんです。
田舎育ちの夢見る女の子がウサギ初の警察官として頑張るわっ。相棒は詐欺師のイケメン狐ニック。凸凹コンビは果たして事件を解決できるのか。48時間以内に解決できなければジュディは警察官を首になってしまうぞ。
これだけでも十分話はできそうなのに、ディズニーはそのさらに向こうに行くのですよ。
本作に描かれているのはアメリカ社会に根強く残る差別意識。
昨今テロ事件で一層激化するその姿をズートピアは可愛らしい動物たちに置き換えてみせてくるのです。
ジュディは草食動物、の中でもさらに小動物のウサギとして差別されています。警官は大型の動物ばかり。婦警さんは、私が気づいた中では誰もいませんでした。
ご両親もジュディの身を案じて、彼女が望んでいない駐車違反取締役に回されているのをほっとしています。
大型の動物たちの中でジュディがぺしゃこんにされてしまうのは容易に想像できますから。
さらに相棒ニックにも幼い頃に受けた差別によるトラウマが根深く残っています。
狐はずる賢く、信用できないものとして扱われ、アイスクリーム屋でも品物を売ってくれません。
確かに作中のズートピア大都市には狐はニックしかいないのです。ジュディが故郷に帰った時にやっと、彼女の幼馴染が出て来るだけです。
ニックはズートピアにくれば皆平等でなりたいものになれると思っているだろうけれど、がっかりしただろうとジュディの痛いところをぐいぐい付いてきます。
夢も希望もかなえられるのは一握り。ズートピアに来ただけで叶えられるなんて幻想だ。君もそのうち夢をあきらめて実家に帰ってにんじんを育てるだろう。
おそらくニックが心の中で何度も何度も繰り返した気持ちなんだろうと思うと、泣けてきます。
可愛らしい動物たちの住む楽園も、完璧ではなかった。その中には偏見や差別が産まれ、その壁を打ち壊す力のない人たちは悔しさに唇をかみしめながら諦めるしかない。
可愛いウサギのジュディと、イケメン狐のニックがすかっと事件を解決すると思っていたのに、なんというディープな世界。
となりのトトロを見るような気持ちでベイマックスを見に行ったら、少年の復讐劇を見せられてしまったときの気持ちを思い出します。
けれど、本作はただ重く苦しいだけではないのです。
最後の最後まで見て、きっとみなさんスクリーンに向かって叫ぶことでしょう。
「お前かよっ」と。
なんというか、もう、続編がないのかと思ってしまいます。
というか、日本のディズニーランドには二人はこないんですか?
香港には行くそうじゃないですか……。
実は、ズートピア未視聴のときにディズニーランドに行くかシーに行くか迷って、行ったことなかったシーに行ってしまったんですよ。
イースター、やってたんですね……ランド。
ウォルトディズニー様、お願いです。日本にも二人をご招待してください。ファストパス取れなくても並びますから!!