私の好きなことの一つに足つぼがあります。
足つぼの存在を知った時は「ええ~!!これ合法なんですか!!?」とたいそう驚いたものです。
しかし、身体の指圧はあまり好きではありません。
なぜならとても痛いのです。
ちょっと押しただけで「ぎゃん!」と叫ぶ大げさな犬のように人体が痛みを発するのです。
ロミロミのように油を使ったものは痛くないの好きなのですが、いかんせん高級リラクゼーションなのでおいそれと楽しめるものではありません。
そんな私は、慢性的な肩コリに悩んでいます。
マッサージするときは痛くて「金払って拷問受けに来たのかよ」と思うほど痛いので、ほったらかしていたらこの体たらく。
一度やったらすっきりする方法はないものか。そんな未来から来たロボットに便利な道具をねだる小学生のような堕落しきった考えを持っていた私が、日課のツイッターをしていますと、「名医おった」というつぶやきが流れてきました。
肩こりがすっきりした、長年消えなかった腰の痛みが消えた、と人気の整骨院。バズりにバズってます。
かなり距離があるけれど、どうしようと悩んでいたのですが、「鍼」という文字に好奇心が止まりません。
一度受けてみたかった個人的施術の一つ「鍼」。
「全然痛くないっすよ。」と怒っていないことを主張するキレ気味の人ように鍼施術を受けた人は言いますが、献血をさんざんやって来た私です。鍼を刺されていたくないわけがありません。
調べてみたところ、鍼に使われる針は一般的な医療用のように血管や皮膚を傷付ける(血液を採取したり薬液を注入するため)ことが目的ではなく、髪の毛ほどの細さかそれより細いようです。
私が今まで体験したことのない細さ。気になります。
好奇心だけは小学四年生の少年並みに持ち合わせている私は、多くの人の言う世界が変わったような爽快感を体験すべく、遠足の前日のようにワクワクしながら眠りにつき、始発の時間に目覚めて江戸川区の瑞江駅に降り立ちました。
仕事以外でこんなに早く起きられたのは、前日に予約のため電話したところ、遅刻は許されずキャンセルも許されない、この規則に従えなかった場合二度と施術は受けられないということを聞いていたため(現在はちがうかもしれません)だったかもしれません。
早く着きすぎても豊富なファミレスと牛丼チェーン店がありますので、ちょっとお茶をしようと思ったり、早く来すぎたので朝牛丼を食べようというのにも安心です。
さて、グーグルマップを頼りに行きますと、HPに映っている院長先生が自らスリッパを用意してくれました。
キャンセルの厳しさからハリー・ポッターに出てくる魔法薬学の先生みたいな厳しい先生が対応するのかと思ったのですが、予約時間通りにきたためかサクサク進めてもらいました。
行く前に予約時間と施術料金について聞いていたのですが、服装のことを聞くのを失念していた私は、首と肩が広めのシャツを着て行きました。しかし、着替えを用意してもらっていたので杞憂に終わりました。
サクサク進めていくので、鍼を刺されるためにうつぶせになります。私の丸出しの背中がこれから針山になるのです。
そのとき先生が申し訳なさそうに「普段は受付の女性が身体を拭くのですが…」と申し訳なさそうにおっしゃりました。
先生のご配慮痛み入ります。先生の名誉のためにも、まな板の上のマグロの水気を拭きとるような事務的な作業が行われていたことをここに記しておきます。ちなみに過去整体を受ける私を見たことのある友人は「パン職人みたいだった(整体師さんが)」と言っていたので察してくださると幸いです。
そんなジェンダー配慮に行き届いた先生がサクサク準備をしている間に受付兼助手のスタッフさんがやって来て、一緒に私の背中に鍼を刺していきます。
この時の痛みは、「場所による」というのが正直なところです。
何か押されたなという感覚から、後を引かないちくっとした痛み、他のところに刺さるときの刺激で刺さった場所がチクチク痛くなることもあります。
激痛ではないのですが、こりがひどいところにある鍼は明らかに、なにか筋肉に入っているというような独特の感覚があります。
「痛みがひどいようだったり、嫌な感じがしたらすぐおっしゃってください。」
と言われるのですが
「嫌な、感じ……?痛みは、ある。けれどこれは、嫌なのか…?」
と己に問いかけるように痛みの分析をしているあいだにサクサク進みます。
※危ないときは貧血や吐き気が起きることもあるので必ず伝えてください!!
そして鍼を刺し終わるとびりびりと流れるおなじみの低周波。
私の背中は今、鍼&低周波装置という状態。
ああ~~見てみたい~~という好奇心を抱きながら、暑くもないのに顎から汗が滴っています。
鍼&低周波が終わる頃にはかなり柔らかくなり、両腕を耳に付けるのに「ふんぬぅあ!!」という掛け声が必要だったのにすんなり当たります。
鍼(背中)&低周波→鍼(鎖骨)→マッサージ器という流れで気が付けば肩はすっきり。部品を取り換えたように滑らかに動きます。
この日は運動しない、入浴しない、温めないことを先生に誓い、診察券をもらって帰りました。
貼ってもらった湿布がひんやりと心地よく、どこまでも行けそうなのですが、今日は行ってはいけない日。減点されたくないのでまっすぐに帰りました。
さて、その後の私の肩は、今までとはくらべものにならないくらいすっきりとしています。
今まで痛かったのでストレッチをするのも憂鬱だったのに、今ではコリそうだと感じたら動かしてほぐすことができます。
いままでどうにもならないくらい、コリにコリ固まっていた私の肩は自分でメンテナンスをすることが可能な状態になりました。
針山にならないように、この肩を維持していきたいです。