なんらかの事情で航空会社が席を確保できず「お客様の中に、次の便でいっか~、と余裕のある方はいらっしゃいませんかーーー!」と叫ぶ回数は、お医者さんを探すよりも確率が高いと言われています。
東京から主要都市に行く時に起こることが多く、出張中の人や学生さんが「いっちょ航空会社を救ってやりますか」と席を立ち、申し出たらすでに他の人からも申し出が殺到していた、なんてこともあるオーバーブッキング。当日便乗り換えなら7500マイルか現金1万円を選べる謝礼があるので、やぶさかではないという人も多いです。
時間に余裕のある人ならば謝礼金、もしくは謝礼マイル獲得チャンスとして、アナウンスが流れた瞬間に航空会社の窓口に走るといいます。喫茶店にいたらもうだめです。聞いた瞬間に行かなければ他の人が謝礼を受け取ってしまうかもしれないのです。
中には申し出てたけどブッキングが発生せず普通に乗れるのに「なんで謝礼がない」と逆にクレームをつけるモンスターが発生して飛行機の離陸が遅れることもあると言います。
そのため日本では無理矢理引きずり下ろしたりなどということはなく、誰も挙手しなかった場合、時間以内に搭乗口にこなかった人の席が譲られる仕組みになっているといいます。
私は何度か飛行機を利用しているときにアナウンスを聞き、「いや~残念っすわ~こっちの便なら譲るのに~」と思っていました。
それが
なんと
ついに私の乗る便で出くわしたのです!
この時の募集人数は1名。周りを見渡せばカップルやご家族連れや女子会旅行のグループで溢れていました。
ぼっち私だけじゃん
しかも保安検査所通過しちゃったよ。いや~残念っすわ~。
そう思って座席でツイッターを眺めていたらまたもや募集のアナウンスが。
これは…連休前ということもあり出張の人もおらず単身で飛行に乗るような乗客もいないということか…。
そう気付くと、何故だか「お前一人なんだから次の便に行けよ。どうせ待ってる人も予定もないんだから。」という幻聴が聞こえてくるのです。
いやでも保安検査所通過しちゃったし…いいのか? 行ったらすでに締め切ってたりしない?
そんな不安を抱えながら保安検査所の職員さんに申し出ました。
ここからが長かった…。
まず、保安検査所の職員さんは航空会社の人ではないので「では窓口に行って下さい」と搭乗待合室から一旦出されます。
航空会社の受付カウンターに行くと、搭乗手続き中の利用者の列に並んで待たないと行けません。
面倒くさっ!と思っては負けなので、この先に航空会社スタッフの笑顔があると思って待ちます。
締め切られていた場合飛行機に乗れるのか…?
私はいらない子なのでは…。
そんな思いを抱えながらカウンターで申し出るとそこには安心したようなスタッフさんの笑顔が!!
「御協力ありがとうございます!」
その一言でこのハラハラ感が消えていきます。
いえいえ、そんな、いつもお世話になってますし…等と会話している場合ではありません。離陸時間が迫ってます。
そこでは名前と住所を書いて、もし席が確保できた場合はそのまま乗ることと、確保できなかった場合のみ便の移動と謝礼が発生するとこを了承します。
手続きを一旦終えると再び保安検査所に向かいます。そこにも長蛇の列がありますが私はもう余裕のよっちゃんなので「おん、ええで。もう一度検査したらええんじゃな。」と並んでいたらアナウンスで私の名を呼ぶ声が…。搭乗窓口にお越し下さいと言われてもまだ保安検査所通過しちゃってないよ??
ええええええ!!?と焦りつつもスタッフさんがいないので、普通に手荷物検査を受けて検査所を通り、私が呼ばれた柳沢ですと搭乗口で申し出ます。
ここでやっと席が確保できないので次の便でお願いしますということになるのです。
保安検査所からまた出て、飛行機が離陸するのを待ちそこで書類に署名して、新しい便の航空券と謝礼をいただきます。
といった一連の流れで航空会社の感謝と謝礼をいただきました。
次の便も二時間以上待ち、周りに空港以外にお店もなく、早い時間帯だったので空港内で過ごしましたが、もし予定が入っていたら絶対にできませんでした。
だって地方民。朝一番にTDLやTDSに行こうとしたら早朝便に乗るしかないのです。それに乗っても開園にぎりぎり間に合わないのです。コミケの一般参加なんか始発組の後の長蛇の列に並ぶしかできません。サークル参加は確実に間に合いません。
そんなギリギリの状態ならば「残念っすわ~」と聞こえないふりをしていたかもしれませんが、奇跡的に余裕をもって早朝便を予約していました。
同行者がいてもできませんでした。
オーバーブッキングは日本の航空会社ではめったに起きないように工夫がされているといいます。
もしも私が移動しなかったら、何かの事情でギリギリ間に合わなかった人が乗れなかったのかもしれません。
そう思うと、今後も余裕をもって保安検査所を通過しようと感じました。