三十路からのデスマーチ

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「砲台に消えた子どもたち」は子供向け文学版の「ミスト」

バッドエンドが好きな人は一定数います。

そんなあなたの一番最初のバッドエンド体験はなんですか?と聞かれ、いろんな漫画やトラウマゲームなどの作品名も上がるのですが、私の中では一番最初の体験は間違いなく戦争系の作品でした。

幼少期に触れた有名な戦争を題材とした作品、ビッグネームの「火垂るの墓」。

幼いころから、お母さんとの対面シーンは人生初のトラウマアニメのワンシーンとして残っています。

その後私はそんなトラウマを抱きながらも、小学生の頃には図書館に通い詰め戦争文学の本棚を読みふけるという一般的な小学生が過ごさないような時期を過ごしていました。

当時、私の時代には「学校の怪談」と呼ばれるシリーズ作品が大変流行しており、学校の怪談の作品の中にも戦死した霊が出てくるという流れがスタンダードでした。そんなこともあり、怪談よりももっと怖い話が読みたいと思ってたどり着いたのが戦争文学でした。

子供向けの戦争文学は、敗戦の中命からがら逃げる兵隊さんの話や、疎開した子供の話などなど、悲惨なはなしばかりなのです。

 

その中でもなかなかの悲惨さなのが

「砲台に消えた子どもたち」

野村昇司(著) 

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この作品、ドラマチックで読み物としてもおもしろいのです。 

疎開してきた少年が主人公の作品なのですが、疎開先の子供たちと徐々に打ち解けていき、仲たがいしていた子達とも仲良くなっていくのが小説として大変読みごたえがあるのです。

主人公が物資の乏しい中盲腸になり、そこから生還したときはここがクライマックスだと思いました。

戦争は終わったんです。空襲もないのです。

しかし、最後にとんでもないどんでん返しがあるのです。

今思えばこの作品は、子供向け小説版「ミスト」でした。

タイトルからすでにクライマックスなのですが、そこに至るまでの子供たちの物語がきらきらしていて、最後の最後でひっくり返される無慈悲さ。

しかも、この作品、実在の事件をもとに作られた作品でした。

色々な気持ちがこみ上げますが、良い作品なので子供向けと思わずに「ミスト」のようなどんでん返しが欲しい人にはおすすめです。