三十路からのデスマーチ

何気ない日常がもしかしたら誰かの役に立つかもしれない。

ガンダムカフェに行って来た話

コンセプトカフェというのをご存知でしょうか。

アニメやゲームの世界を店内に取りこんだりメニューに取りこんだりキャラクターのお面を付けたりして盛り上がりながらご飯を食べる場所です。

先日、ガンダムカフェに行ってきました。

何故か。

ガンダムシリーズ最新作鉄血のオルフェンズ最終回を記念してです。

御存じない方に簡単にストーリーを説明しますと、ガンダム新選組です。

もしくはガンダム真田丸です。

ともかく、私は行ってきたわけです。ガンダムカフェ。

ご存知の方はご存知かと思いますが、ガンダムカフェは秋葉原駅からすぐ見える可愛いアイドルの女の子たちのカフェの隣にあります。

列の先は高架下まで伸びていました。

2時間待ちました。

スマートフォンがなかったらくじけていました。通りすがる人たちや陸橋を渡る人たちに指さされながら待ちました。

やっと入ると、2時間まったことなどどうでもよいように感じました。ガンダムにちなんだキャラクターが、名言が、メニューがあるのです。ここがガンダムです。

よくご存じない方は「適当なフライドポテトにキャラクター名ポテトとかつけただけで1,000円とかとるんでしょ? それぼったくりバーじゃん」とか言いますが、ガンダムカフェは遊びじゃありませんのでそんなことはないです。

ちなみに、ドリンクにキャラクターの名前が付いているんですが、レジで頼むときに恥ずかしくないかなという心配は無用です。こんなところでつまづいていたら2時間並びません。

ここで私が頼んだのはもう本編で亡くなったキャラクターだったんですが、可愛らしいスタッフさんが「(死んだキャラの名前)1つお願いします。」と鈴の鳴るような声でおっしゃるもんですからキモオタの私は「え?? なに? いるの? (死んだキャラの名前)いるの? マジで? 」とレジの向こうをのぞくわけです。

もしかしたらあの後奇跡的に生還してカフェで働いているのかもしれないという妄想をしながら席に着くわけです。

コラボメニューのローストビーフにはマッシュポテトもついていてかなり本格仕様でした。おいしゅうございました。食べるまでは「言ってもそんな大したことないんじゃないの? 」と思ってましたけど高いレストランみたいな味がしました。

(死んだキャラの名前)のコラボドリンクも、ライチの香りがして並んでいたつらさや流した汗を忘れるほどおいしかったです。

ちなみに一緒にいた友人は推している(生きているキャラの名前)のカフェラテを頼んでいて、泡の上でくずれゆく(生きているキャラの名前)を残念そうにしながら飲み干していました。

 

さて、ここまでお付き合いいただいた方の中で私と同じキャラクターが好きな方はお気づきかもしれないのですが、このカフェに私が行ったのは最終回より前の日なんです。

友人とともにイベントに行けないことを悔しがりながら、友人宅で絶叫上映をすることになりました。

それくらいしか、イベントに行けない者の特権がなかったのです。

さて、友人たちとともにポップコーンと炭酸飲料を用意し、叫ぶ準備をしながら本編をみたわけです。

ガンダムカフェには、キャラクターたちをネズミやネコに置き換えたキャラクターがいまして、それが楽園のように美しかったのを覚えています。

 

私たちは

 

誰一人として

 

動きませんでした。

 

ポップコーンを食べることもなく、飲み物を飲むこともなく、互いに言葉を交わすことなく、息もしているのか怪しいほどの沈黙の約30分間でした。

 

今だからこそ書けるのかもしれないほどの、痛い悲しい沈黙でした。

 

私はこれほどの沈黙を体験したのは「魔法少女まどか★マギカ 【新編】叛逆の物語」をの劇場以来でした。

誰一人として立ち上がらない、エンディング。

その後の明るくなっても、数秒固まって動けない観客。

しかしそれ以上のダメージを私たちは、言葉を失い呼吸すら忘れ、Blu-rayのCMを見ていました。

あの日私がガンダムカフェで見た幻(妄想)。(死んだキャラの名前)は本当にガンダムカフェの厨房にいたのではないか。

コラボドリンクを求める客のためにひたすら涙を流していたのではないか。

だとしたらなんてひどいことを私はしてしまったんだろう。

 

その後私たちは、誰ともなしに良かった探しを始めました。

全員死んだわけじゃないし。とか。

世界は平和になりつつあるんだし。とか。

仇、打てたし。とか。

子供、いてよかった。とか。

 

しかし一周すると全員「なんで死んだ」という絶望感で涙するしかないこの地獄絵図。

あの眩いコラボレーションカフェの後にこんな地獄が待っていたなんて誰が予想できたでしょう。

 

最終回前に行ってよかった。最終回後に行ったら完全にお通夜でした。