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三十路からのデスマーチ

何気ない日常がもしかしたら誰かの役に立つかもしれない。

ホラー映画と見せかけて恋の三角関係の青春映画「死国」

ホラーはそっと添えるだけ。

そんな映画「死国

久しぶりに東京から故郷の四国に夏川結衣に成長して帰ってきた主人公。彼女を待ち受けていたのはイケメン筒井道隆に成長した幼なじみと、高校生の頃に不気味な死を遂げて栗山千明のまま歳が止った友人。

 

本作は久しぶりに故郷に帰ってきた比奈子にそっと忍び寄る死んだはずの幼馴染の影、禁断の呪法、お遍路を逆に回ると死者が蘇る、等地方色の強いホラー設定満載なのですが、残念なことにその恐怖の核たる存在「莎代里」が美少女なんです。

可愛い日本人形のように白い着物を着てぎゅっとだきついてきたり、黒いロングスカートと白いブラウスという一時期流行した童貞を殺す服のようないでたちで上目遣いをしたり。こんな幽霊ならまんざらでもないなと思うレベル。

蘇ったばかりの彼女の弱々しく縋り付こうとする姿は、庇護欲を駆り立てられます。

どうして私は大人になれなかったの? どうして生きてはいけないの? 死んだらこの恋もなくなってしまうの?

比奈子に訴えかける莎代里の女の子としての素直な気持ちや未練になんだか見ていると可哀想で、もうほっておいてあげたい。

おらこんな町いやだー! とばかりに逃げ出したかったのにそれも叶わず、大好きな人は心の底では馬鹿にしていた幼馴染に寝取られるし、もう踏んだり蹴ったり。

そんな莎代里の心情を詳しく盛り込まれ過ぎて、最後には莎代里の身の上が悲しくて泣けてしまう。

 

例えるなら、十三日の金曜日でジェイソンがばったばったと人を殺すんだけれども、その中に大好きなお母さんとの思い出や、将来の夢や、大きくなったらぼくお医者さんになっていろんな人を助けてあげたいんだ、というような描写が挟まれる、という、なんでこんないい子があんなひどい目に遭ってしまったんだという悲しみがこみあげる結末。

 

比奈子よりも莎代里に感情移入してしまう人はきっと多い。

ホラー10パーセント、四国にはきっとこんな魔境があるんだ演出10パーセント なんだか甘酸っぱい恋80パーセントそんな割合の作品。